10.
2005. 1. 20.

 

昨日友人のアブサマッドとハンマムに行ってきた。ハンマムはアラブ式の公衆浴場で、男女別に別れた入口や、番台に置いてある干からびた爺ぃ、そして空に向かって白い煙を吐き出す煙突などは日本の銭湯を彷彿させる。

 

銭湯と大きく違うのはまず浴槽が無い(違いすぎるな…)。スチームサウナを想像してもらえれば間違いないと思う。浴室は3つに分かれており、奥の部屋に行くに従い熱くなる。保温の為か浴室内には窓が一切無く、天井からぶら下がった裸電球が陰鬱な影を落としている。さらに総石造りの室内の雰囲気も手伝って、知らずに迷い込んだら拷問の為のそれだと思うこと間違いなし。そんな拷問部屋の一角にビニールの敷物を広げ場所取りをして、置かれている巨大なバケツにお湯を汲んできて頭やら体やらを洗う。ちなみにパンツは履いたまま。慣れるまでは気持ち悪くてしょうがない。

 

フト目を上げると、腕組みをしてオレンジ色のトランクスを履いた、意味も無く筋肉質な人が目に入るのも銭湯と違うところだ。彼らは垢スリ隊。何時来るか判らない客に備え、人知れず無駄に体を鍛える努力を絶やさないすごい人達だ。今まではさすがに抵抗があり彼らを意識的に遠ざけていたが、友人の勧めもあり今日は垢スリ隊初体験。

 

初めての相手はホセのような口髭を生やした、やっぱり無駄にムキムキのモロッコ人「ムスタファ」。僕の前に現れるや彼は自慢の胸筋をピクピクさせてお出迎え。その行為に何の意味があると言うのだろうか?いや、あるまい。深く考えるのはよそう。それよりも、初めてだから優しくして♪と言う僕の願いも虚しく、ムスタファは初っ端から全体重をその両腕に掛けて垢スリを開始。

 

「ぃいいいぃぃぃぃぃだだだだだだだぁぁぁあぁぁあっっっ〜〜〜〜!!!!」
拷問部屋に相応しい悲鳴が辺りに木霊し、気が付くと周りはモロッコ人で黒山の人だかり。アブサマッドもニヤニヤ笑ってやがる。日本人が来るのも珍しいなら、その日本人が垢スリで悲鳴を上げている!彼らにしたらこんな面白い事はないだろう。

 

「もっと力を入れてやるんだ!」
「ほら、そこ!まだ擦ってないぞ。アッハッハァ」
そんな無責任な彼らの野次も、僕の体から出る大量の垢を見て驚愕の声へと変っていった。モロッコ人からするとありえない位の垢が出たらしい。そりゃそうだ。彼らは月に1度は垢スリをしているだろうが、僕は1年9ヶ月分の垢を擦り落としたのだから。文字通りモロッコでの垢をきれいに落とし、着々と日本社会への復帰は近づいている。……のか??

 

【ちびこばくん便り】

 

【ホーム】