★香港小話★
2. ジャッキー・チェン (後編)
2004.12.10.
あれは20歳の冬だった。当時たまたま雑誌社でライターしていた知り合いに誘われて、香港映画の試写会に行ってきた。『精武英雄』邦題は『フィストオブレジェンド 怒りの鉄拳』。ブルース・リーの『ドラゴン怒りの鉄拳』のリメイクで 、主演ジェット・リー、ゲスト出演倉田保昭、中山忍のこてこてカンフー映画だ。 (ジェット・リーという芸名はしっかり定着してしまった。リーリンチェイが懐かしい。)
実はこの映画、日本に占領されていた時の上海が舞台で、たくさんのエキストラの日本人らしき人が出てくる。そしてそのエキストラの募集がなされ、知り合いに頼まれたのもあり面接みたいなのに行った事があった。
当時、20歳のあきらくんはめちゃめちゃ緊張して日本語の台詞なのに、超棒読み。しかも観光気分で『どうせ受かるわけねえな』という態度でのぞんでいたためあっさり落とされた。もし真剣に演技らしいものをしてアピールしていたら、エキストラ出演→中山忍と記念写真ぐらいはできたかもしれない。まあ昔はシャイボーイだったので仕方なかったのだが。
で、映画は完成し、違う人経由でたまたま試写会に招待され友達3人くらい誘って見に行って来たのだ。
映画館に到着すると、中には記者っぽい人がいっぱいいた。カメラを持っていたり、メモ帳や記者章をぶら下げていたり。『なんか綺麗な人はいないかなあ?』と物色していたら、『お!リーリンチェイだあ!』10人くらいの記者に囲まれ、めっちゃ笑顔で答えている。それからよく知らないけど綺麗な人がぞろぞろ現れ、名前の知っている人も目の前を通って行き『ほお〜』。
だんだんロビーも込んできて、そろそろ劇場に入ろうかというその時、俺の右横から頭の大きい人が目の前を横切った、、、。
『あ、、、、、ジャッキーだぁ、、、、。』 あまりにも突然だったのでキョトンとしてしまった。あのジャッキー・チェンが自分の周囲30cmのテリトリーに入ってきた。背は俺より低く、170cmくらいかな?でも体はごつく、とにかく頭がデカイ!その時の印象はジャッキーに失礼だが、『頭がでかっ!』
それからすぐ会場の中に入り、左後方の席に座った。そしたらなんとジャッキーが前の前の席に座るではないか!一つ前に移動しようかどうか躊躇したら次の瞬間、ジャッキーのボディガード兼俳優のデカいデブが前に座ってきた。『おーい、ジャッキーが見えないじゃんかよお』 『このデブ、どけ!』っと言いたところだったが怖くて言えず、映画が始まってもたまにちらちらと、ちょこっとだけ見えるジャッキーの髪の毛を見ながら映画を楽しんでいた。
そして映画も終わり、ジャッキーはどうするのかとちょっと興味しんしんで見ていたら、そのデカいデブやイカツい取り巻きの兄ちゃんら10人くらいに囲まれて歩いて帰っていった。主役のジェット・リーと声を交わすかな?と思っていたら、そんなそぶりも見せず、普通にそそくさと立ち去って行った。流石ジャッキー、眼中なしだ!
昔、ジャッキーと闘ったら勝てるかな?というアホな質問を聞いた事があるが、ジャッキーと闘う前にあのイカツい兄ちゃんらにボコボコにされるだろう。あの手の兄ちゃんらは、イカツい均整の取れた筋肉を強調させるためか、ピチピチのTシャツを着て、その腕からモンモンをチラ見させる。
ジャッキーはみんなから大可(ダイコー、大アニキ分)と呼ばれているが、それをうなずける立ち振る舞いであった。そして一度ファンから声を掛けられると、究極の笑顔で手を振る、そのギャップが素晴らしい。
そしてあきらくんは興奮隠せぬまま、友達とラーメンを食べ意気揚揚と家へ帰ったのであった。しかし一つだけ欲が出てきた。『カメラ持って行けばよかった、、、。』後悔先に立たずである。