2005. 5. 2.
卒業式に、壇上占拠した気がする。
Text=Naoki Numahata
おじぎをする。みんなの頭がざざざざー。
卒業式よりおそらく1週間ほど前のこと。私、沼畑直樹は、「壇上を占拠して何かやるから」 とだけ周りの友人に伝えて、みんなをワクワクドキドキさせておきました。
とりあえず、ヤマトには、一緒に何かを読み上げるから、世話になった先生に対して一人ずつ台詞を用意していくように、伝えて。「おーし、やるぞー」 とヤマトは笑っていたような、記憶がありまして。
台詞を書く紙は、田原俊彦の若い頃のポスターの裏に。何故だか覚えていません。きっと同じクラスの誰かが見つけてきたのでしょう。私は 「これしかない!」 とか言ったような気が。
それと、台詞を読み上げる間、後ろではみんなに 「贈る言葉」 を唄ってほしいと思った。笑える台詞に、泣ける唄で感動するかな、と思って。
たしか、誰もいなくなった教室で、誰かと2人でポスターの裏に、台詞を書いていた、ような気がする。季節的には、きっと寒かったことでしょう。あの愛すべきボロ校舎ですから。廊下のレンガの隙間から、外が見えたりして。
そうして、準備は整いました。
卒業式当日の朝。
壇上占拠イベントに参加するメンバーは、おそらくタナのクラスの前の廊下に集まっていたような気が。みんな、ドキドキワクワクです。
タナはフランスパンみたいな頭で、興奮しながら 「俺が 『ちょっとまった』 を言うタイミングはいつにすればいいのだ」 と言っていたに違いなく。
そんなタナの頭を見て俺は、ふと思いついたのでしょう。「3年生全員で先生たちに礼をしたい」
しかし、みんな渋い顔をして、ただちに反対しました。なぜなら、この企画は秘密企画でして、参加するごく少数のメンバーしか知らないわけでして、「しらける」可能性も30%くらいそれぞれ感じていたわけでして。
予告もなく突然「礼をしろ」と言われても……。なんて意見が大半でして。そんな意見に、俺はどう思ったのか、まったく覚えていないわけです。
その後はみなさんの知る通りですが、「ちょっとまったぁー」 とか 「だっだぁーん」 とか。予定通り台詞も言い終えて。唄は予想外に笑える感じになって、それはそれで良かったわけで。
そして最後に、私は「一同起立」と言ってしまいました。
勢いだったのか、会場の空気が読めたのか、今となってはわかりません。今は結構空気の読める大人になったと思います。
とにかく、ざざっと音をたてて、みんな、たぶんこれを読んでいるあなたは、立ち上がりました。
その様子をプロジェクトX風に言うと、「3年生全員が、すっと立ち上がった。奇跡だった」 のです。
そう、奇跡のようでした。「奇跡だ」 と、その瞬間、心の中で思った記憶がありまして。
それだけで胸がいっぱいになりましたが、「一同礼」 と言って頭を下げながら、みなさんが礼をする姿が、最初の方だけ、目の上の方で見えました。
それがまた、感動的でしたよ。
みんなスゲーなーって思ったような、気がする。
立ったり礼したりするのを、迷ってタイミング外したような人、誰もいなかったから。